はじめに

2023年7月19日






2019年6月
およそ半年間におよぶ入院生活から一時退院することになり、迎えにきた姉夫婦の車に乗って、実家へと向かいました。その途中、義理の兄から思わぬことを告げられました。

普通の脳梗塞だと思っていた私の病気ですが、実は脳幹梗塞という病気で、脳梗塞の部類としてはかなりの重症だったそうです。当初は、一生、歩けない、動けない、喋れない、飲み込めない、という診断で、まず回復の見込みはないと先生に言われたそうです。確かに入院当初から主治医の先生から病状の説明がなく、不思議に思っていましたが、その理由が分かりました。

主治医の診断は、MRI画像や長年の経験から病状を指摘したことなので、間違いないでしょう。しかし、もし病状をそのまま告げられていたら、たぶん私は生きる希望を見失い、鬱状態になっていたと思います。でも今、私は杖をつきながらも自分で歩き、動き、三食のご飯を普通に食べ、喋りづらさはあるものの、言葉を交わすこともできています。

先日、久しぶりに最初に入院していた病院へ行った時、入院当初に担当してくれていた看護師さんに会いましたが、杖をついて歩いている自分を見て「奇跡」だと言っていました。

何故、私は回復することができたのでしょうか?その大きな要因は気持ち(意識)だと思います。「病は気から」と言いますが、まさに入院当初は寝ると悪夢を見たり、自分の意思が通じなかったりすると、かなりイライラしていました。そんな私を助けてくれたのは、リハビリのスタッフさんや看護師さんたちとの何気ない会話でした。私は少し人見知りで、仕事柄、普段一人で過ごすことが多いため、日常的に会話をすることが少ないのですが、本来話好きで冗談の好きな私は、言葉が出しづらいという環境にありながら、今まで接したことのない人たちとの会話が唯一の楽しみでした。最悪の病状から救ってくれたのは、自身の好奇心と病気と戦いながらも、人と積極的にコミュニケーションをとってきた結果だと考えています。つまり、あまり先を考えず、その時、その時、できるかぎり「前向きに生きる気持ち」意識を持ち続けることが大切だと思いました。

体だけのリハビリには限界があり、よりよくなりたいという前向きな気持ち、意識が伴って初めてその限界を突破できるのではないかと思うのです。そしてその前向きな気持ちというのは、自分の心の問題であって、ネガティブにならず、常にポジティブでいられるかが、早く回復するための大切な条件ではないでしょうか。体と心は密接につながっています。心と体、両方がバランスよく保たれることで、効果的なリハビリを受けることができるのだと思います。しかしそれだけでは説明できないような、何か不思議な力で命が救われたと感じることもありました。

本サイトでは脳幹梗塞によって歩けない、動けない、喋れない、飲み込めないという最悪の病状から、私がどのようにして回復したのか、また病院で出会った人々やエピソード、脳梗塞の基本情報、そして私が実体験した不思議な事象も記したいと思います。

ブログは、できれば急性期の一番最初に書いた「黒い影」の話から読んでください。その方が分かりやすいです。
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