まとめ
退院してすでに2年過ぎ、いつまでも体験記などと言って書いてられないのでここでまとめることにしました。
ある日突然、重度の脳梗塞になりおまけに大腸ガンだと判明、天地が逆さまになるほどの衝撃的体験をした8ヶ月でした。目眩から始まり、入院、MRI検査、CT検査、脳梗塞、寝たきり、点滴、右半身麻痺、せん妄、幻覚幻聴、オムツ、尿道カテーテル、痰の吸引、胃ろう、激痛、リハビリ、下血、癌告知、手術、超激痛、これまで全く縁のなかったキーワードの連続です。本来なら、2回ぐらい死んでいてもおかしくないくらいです。何故、このようなことになってしまったんだろうか?天罰か、いや何も悪いことなど一切やっていないはずである。バブル崩壊後の東京で、小さいながら映像の制作会社を20年間、潰すことなく経営してきたのです。何か問題があっても自分で全て可決してきたという自負があり、仕事をもらうからいってクライアントに頭をペコペコ下げるようなことはしませんでした。但し受けた仕事は100%以上の力で仕上げました。しかしこの半身麻痺した体では、以前のように仕事を受けることはもうできません。好きな場所にカメラを持って行き撮影することもできません。でも幸いにも今はパソコンとネットあれば、映像を作ることはできます。ただ右半身が麻痺していることはかなりのハンデキャップで、最近は麻痺した右手もキーボードを押すぐらいはできますが、基本左手一本でパソコンを操作します。正常時に比べるとかなり時間がかかります。それから椅子に座り、同じ姿勢を続けるのがかなりしんどいです。健康の時は、何時間でも椅子に座っていられましたが、今は30分も座っていると体が硬くなり、ストレッチをやることになります。
脳梗塞による半身麻痺になり、失った物のはとてつもなく大きいのですが、幾つか麻痺になったことで得たこともありました。それは普段あまり文章を書く習慣がなく、書いても企画書とか構成台本とかを書くぐらいで、文章を書くこと自体あまり好きではありませんでした。小学生の頃、宿題で読書感想文とかありましたが、全くうまく書けませんでした。感想というより、ただ筋を追っただけみたいな感じです。先生に「どこが感想なんだ」と言われたことがあります。入院してから時間だけはいくらでもあり、他にやることもなく、リハビリにもなるので文章を書き溜めてみました。文章って書いてるとコツみたいなものが分かってきて、すると書くことが少し楽しくなってきます。あれ、俺ってもしかして「文才」があるのかもしれないなどと余計なことを考えてしまいます。
これまであまりプライベートな空間では、積極的に人と関わることがあまり好きではありませんでした。ただ仕事となるとそれは別の話で、全く人が変わったように話をし、時には場を盛り上げたりします。病気をし入院すると否が応にも人と関わざるを得ないということ、それは医師や看護師、セラピストなどいろいろです。ただこちらは病人という可哀想な立場な人なので、基本皆さん優しく接してくれます。でもよく考えたら、それは彼らの仕事だったんですね。仕事といっても人と人なので、気があったり話が面白かったりすると感情的に繋がってきます。この半年間、病院という特殊な環境の中で、短期間に良くも悪くも、イヤっというほど濃密に人の感情の機微に触れたこと。これは普通の生活をしていてはなかなか感じられません。病気になり一番精神的にも肉体的にを弱っている時に、人はどのように接するのか、普段あまり無口で愛想のない人が意外と励ましてくれたり、またはこちらが身動きが取れない事をいいことに嫌味を言ったりする人もいます。その時はもうグット我慢するしかありません。そこで感情を爆発させたら負けです。何と言っても体が動かないのですから。
◯脳梗塞リハビリまとめ
脳梗塞という病気になり、最初は病気のこともリハビリのことも全く分かりませんでしたが、二年、三年経ち自分なりに脳梗塞という病気の事を色々と調べてみると、症状が改善する人の共通点みたいなものがあることが分かりました。
脳梗塞、脳内出血による重症な半身麻痺患者で、医師から寝きり宣告されながら奇跡的な回復を見せた、患者さんの共通点が幾つかありました。それは自らの意思で強く回復すると信じ、自身で手足を動かしてきたかということ。それもできるだけ早く対応すること、セラピストによるリハビリより早く、自ら麻痺した手足を動かすといっても、麻痺してるので動くはずがありませんが、それは正常な残り半身の手足を使い麻痺した手足をこすり、刺激を与え続けるということです。脳内出血で倒れたAさんは当初、絶対安静と医師から言われましたが、直感的にそれではダメだと思いベッドの中で動く方の右足と手で、麻痺した左側の手足をこすり続けたそうです。その後、セラピストによるリハビリが始まり、Aさんの手足の状態を見たセラピストがAさんに何をしたのこと尋ねると、手足を擦り続けたことを話したそうです。その時セラピストに「正解です」と言われたそうです。その後、4ヶ月で退院して仕事にを復帰したとの事です。
入院中に隣のベットの患者さんは一人暮らしの70歳代で自宅のトイレで倒れ、そのまま二日間身動きが取れず三日目に迎えに来たデイの職員に助けられたそうです。すぐに救急車で病院に運ばれたたそうですが、二度目の脳梗塞ということもあり、医師からはもう寝たきりになると告げられたそうです。しかし「俺はそんな柔な体ではない」と自分に言い聞かせ、ベッドの中でやはり非麻痺足の手足を使い麻痺した手足をこす続けたそうです。その後、歩行器を使い歩くことができるまで回復し、その様子を見た担当医はすごく驚いたそうです。
絶対安静、寝たきり宣告されながらも、奇跡的回復された二人の共通点は、ポジテブシンキングと自身による患部への一早いリハビリ行為です。それでは自分はどうなのかと申しますと。当初の診断は重症の脳幹梗塞であり担当医から、身内には「喋れない」「飲み込めない」「動けない」の寝たきりになるかも知れないと言われたそうです。しかし担当医から自分に直接、症状を説明してもらったことは一度もありませんでした。ですから普通にリハビリをすれば、また歩けるようになると考えていました。たまに病室に担当医が来ると先生に「この体は治るんですかねえ」と聞くと先生いわく「治りますよ!」というだけです。
患者に意図的に病状を伝えなかったのか、ただの怠慢なのか分かりませんが「寝たきりになります」などと患者に伝えたら、それだけで患者によっては鬱状態になってしまう可能性はあります。
脳梗塞になり急性期での入院中、不思議と気分が落ち込むこともなく、気の合ったセラピストや実習に来た看護学校の学生さんと声が出ずらいものの会話をするのが楽しかったりしました。
結果としてあまり深く病気の事もあまり考えず、今まで接したことのないセラピストや看護学校の学生さんと、たわいも無い話をしていた事が良かったのかも知れません。
ですから、退院した日、迎えに来た姉夫婦が車の中で、どうだったと聞かれたので「楽しかったよ」と言いました。8ヶ月も入院し半身麻痺の状態なのに「楽しかった」は無いよなと思いつつ、これからどうすれば良いかなと考えながらも、なるようにしかならないと開き直るしかありませんでした。
脳梗塞という病気は、脳細胞が死滅してしまうので、病状の重症度や年齢にもよりますが基本一度死滅した脳細胞はもう再生はされないので100%体が元に戻ることはありません。ただし生き残った周辺の脳細胞による可塑性により死滅した細胞を補完することはできるようです。現状、脳梗塞になると癌や外科的な病気ように直接的な治療薬はありませんから、脳梗塞による手足の麻痺を改善するには脳にいかに刺激を与え続け、残った脳細胞をどこまで活用できるかということです。その手助けとしてボトックスという筋肉を緩める薬はありますが、これで麻痺が治るというものではありません。ただ筋肉を緩めることで脳に刺激を与えやすくなるのではないかと考えることはできます。結局、動かない手足を動かすという事は、脳に刺激を与えるということで、それと同時に動かすという強い意識を持ち続けることでしか麻痺した手足を改善する方法はないのです。ひとつ確実に言えるのは脳梗塞などにより半身麻痺になった場合、信頼できるリハビリ病院に入院し、優秀なセラピストにリハビリを担当してもらえるかというのが一番です。セラピストが優秀かどうかの判断は、言葉に説得力があり且つ人間的魅力(人間力)が備わっているかです。又は一緒にリハビリをやっていて楽しいかということ、新人であっても真摯な態度で患者に接すれば気持ちが伝わるものです。一番良くないのは知ったかぶらないことです。技術的に未熟でも楽しくリハビリができることはとても大切なことです。
最後に、退院する1ヶ月ほど前からは車椅子を使わず病室からリハビリ室まで杖歩行で移動することにしました。もちろんセラピストと一緒ですが、これは誰の指示でもなく自分自身で決めて実行しました。病室からリハビリ室まで約100mぐらいあります。往復で200m、1日4回リハビリを行うと合計で800mになりリハビリ中の移動を加えれば1日、1キロ以上は歩いたと思われます。それから何故か、その様子見ていた看護師さんが歩行に付き合ってくれ、廊下を1往復毎日リハビリとは別に一緒に歩いてくれました。忙しい看護師さんが看護とは直接関係ない歩行に付き合ってくれたのです。退院して何年か経つので今病院に行ってもその当時の看護師さんに会うこともそうはないのですが、たまに会うとただ杖をつい歩いてるだけなのですが、仕事の励みになると言って喜んでくれます。退院して何年か経つとリハビリの限界地点も何となく分かってくるのですが、日進月歩で医療も進化しているのでiPS細胞のような再生医療もあり、元にMuse(ミューズ)細胞と呼ばれる新たな多能性幹細胞が生成され。脳梗塞で重度の身体機能障害の後遺症がある患者に、ドナー由来のMuse細胞製品を投与した臨床試験では、約7割が介護の必要のない状態になるという劇的な結果をもたらしたそうです。何だかまだまだ大丈夫な気がします。
Muse細胞












ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません