手術する時..

2021年5月6日

 

◯初めての個室で..
手術する二日前には個室に移りました。今まで二人部屋か四人部屋にいたので個室となると広くて静かでなかなか良いものだと思いましたが、でも何か落ち着かなと言いますか、それは前日に霊感の強い患者さんの話で、何度か病院で霊を見た話を聞いてしまい、その話によると夜中にトイレ行くと老人が列をなしてある病室に入っていったり、通路に子供が蹲っていたり、トイレの壁から女の霊が抜け出てきたりしたそうです。個室ともなるときっといろいろな人が亡くなっているはずです。それで夜、個室に寝ていると看護師さんが来たので、この病室は「お化け」が出たりしないかと聞くと看護師さんいわく「お化けなんか出ませんよ」と言われ、でも何か女の人のうめき声が聞こえるというと、「それは隣の患者さんの声ですよ」と笑われました。それでも小心者の私は、病室の入り口の灯りは付けてドアは閉めないでくれと頼みました。

◯手術当日…

手術の当日になりました。何故か全く恐怖感も緊張感もありません。それよりまた腸内洗浄で、下剤を2リットル飲むことの方が嫌でたまりません。腸内洗浄も3回目となると下剤を飲んでも効果が薄れ何も出ないのではないかと思いましたが、それが逆でとりとめもなく便が出続け、と言ってもトイレではないのでベッドが大変ことになってしまいました。この状態をどうするのかと思っていたら、ベテラの看護師さんが三人やって来て、あっというまに綺麗にし元の状態にしてくれました。その手際の良さと言ったら、全く持って感心させられます。そして次に手術を担当してくださる外科の先生がやってきて、実は先日のエコーの検査で、その後詳しく検討した結果、心臓に若干問題があることがわかり、もしこのまま手術をすると心臓が停止する可能性があると告げられました。心臓の問題とは、狭窄という症状があり心臓につながる血管が細くなっているとのことでした。手術当日に心臓が停止するかもしれないと言われてもどうすれば良いのかと思っていると、先生から3つ提案されました。1、手術の時間をずらし、もう一度詳しく調べる、偶然にも調べるための機械とスタッフは揃っているそうです。2、手術を二、三日延ばす。3、心臓の狭窄を治療してから手術をする、そのためには一ヶ月かかるということでした。自分としては躊躇なく1でお願いしますと言いました。出来ることは今やる、ダメならその時にまた考えれば良いのです。それですぐに検査室に運ばれ、診察台に寝転ぶと、腕の血管からカテーテルの管を心臓まで差し込み詳しく調べてもらいました。しかし血管に管を通すってどんだけ細い管なんだろうかと思いながら、すごい技術だなと感心しました。その結果は、手術には耐えられるとのことでした。

◯手術する…
いよいよ手術をするためにベッドのまま手術室に向かいます。エレべーターの前で看護婦さんが頑張ってーという感じで、手を振ってくれエレべーターに乗り込みました。看護学校の実習の学生の二人も一緒です。手術室に入るとテレビで見たように天井からのライトが手術台を照らしています。ベッドから手術台に移されると、真上のライトの灯りしか見えません。呼吸器や何やら様々な器具をセッティングしているようですがよくわかりません。もう自分では何もできないのです。全ても医師に任せるしかありません。そして手術が始まりました。看護師さんが「眠くなりますよ」と言われると、すぐに目の前が白くフェードアウトして、もう次の瞬間、今度は名前を呼ばれる声が聞こえ、薄ぼんやりと目の前の医師の顔が見えすぐに「手術は成功しましたよ」声が聞こえました。自分としては「ありがとうございます」と返事をするのが精一杯でした。手術は四、五時間ぐらいかかっているのですが、ほんの一瞬の出来事にしか感じられません。まったく不思議な体験です。明らかに普通の睡眠とは違い、きっと死ぬ時は、こんな感じなんだろうなという感覚です。しかし意識が戻るに連れて手術痕の痛みが襲ってきます。手術台からベッドに移りすぐに病室に戻ると、看護師さんたちが慌ただしくセッティングしてくれ、痛み止めを腕から点滴してくれました。しかし、痛みは酷くなるばかりで、呼吸するのも辛いぐらいです。本当にこの痛み止めは、効いているのだうかという感じです。

夜になっても痛みは続き、それで看護師さんが痛み止めを違うものに変えてくれ、その痛み止めは割と効いたみたいで少し痛みが和らぎました、しかし量が少なく看護師さんの話では二、三時間で効果が切れるとのことでした。痛みが和らぐといきなりシャックリが出だし、シャックリが出た瞬間に激痛が走り思わず「痛え〜」と病室から廊下にまで声が響き渡ります。何故よりによってこんな時にシャックリが出るのか、もしこれがクシャミや咳であれば間違いなく気絶していたかもしれません。その激痛の声を聞いた看護師さんがやってきて一言「吐き気はしますか?」と聞かれ「吐き気?」と言うと、もう一度「吐き気しまっすね」と言うので「吐き気します」と答えました。すると看護師さんが注射器を取り出し腕に何やら注射してくれました。するとシャックリが出なくなったのです。一体何を注射したのか分かりませんが落ち着きました。痛み止めの効果と切れるのが何度か繰り返してるうちに朝になりました。朝になると看護師さんがまた別の痛み止めを持ってきました。今度は錠剤で、これは凄く効きやっと痛みから開放されました。しかし、こんなに効く痛み止めがあるなら、最初からこの錠剤を飲ませてくれれば良いのにな…

続く…